第28回勉強会開催、「最近の北京事情」

7月18日、第28回勉強会が開催され、元北海道新聞北京支局長の島影均さんから、「最近の北京事情」をテーマにお話しいただきました。島影さんは、中国の日本語総合雑誌『人民中国』に5年間勤務し、このほど帰国しました。

まずは、2010年から2015年の5年間の日中関係の概要を振り返りました。

2010年9月に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生し、「島」をめぐる両国の関係悪化の暗雲が立ち込め始めます。2012年には国交正常化40周年を迎えますが、9月の尖閣国有化により、日中関係はこれまでにないほど険悪化しました。2013年11月には中国が東シナ海における航空識別圏を設定するなど、両国の関係は悪化の一途をたどっていましたが、2014年11月の北京APECで約3年ぶりに首脳会談が行われ、改善の糸口が見えてきました。

こうした日中関係のなか、両国のメディアにおいても、それぞれの国民感情の悪化をあおるような報道が目立ちました。

中国のタクシーで、日本人だとわかると乗車拒否や嫌がらせを受けるという報道が日本でされていたとき、島影さんはタクシーの運転手に「何人だ?」と聞かれ、「君たちの嫌いな日本人だ」と答えると、「あれは政府同士の争いで、自分は日本が好きだ」と言われたエピソードなどを紹介し、「実際に中国に来て自分の目で見ることが大切だ」と語りました。

質疑応答の時間には、大気汚染の状況や腐敗撲滅運動に対する国民の反応、安保法制を中国はどう見ているかなど、活発な質問が飛び交いました。

『人民中国』のコラム「日だまり」は、島影さんが北京での生活のなかで見聞きしたこと、感じたことを綴ったエッセイです。ご興味のある方はぜひお手にとってご覧ください。