2月21日、第23回勉強会が開催され、前中国通信社社長の薛永祥さんから、「南水北調の現状と課題」をテーマにお話しいただきました。「南水北調」とは、北部の水不足を解消するために、水資源が比較的豊かな南部から北部に水を運ぶ中国の国家的プロジェクトであり、昨年12月、中央ルートの1期工事が完成して通水が開始されました。薛さんは、中国の公式報道からみた「南水北調」の現状と課題について紹介してくださいました。
「南水北調」の構想は、1952年、毛沢東によって打ち出されました。そして50年余の研究と論証を経て、2002年、東、中央、西の3ルートによる「南水北調」プロジェクトが始動します。40~50年間で3期に分けて工事が行われ、2050年までの総投資額は約5000億元に達するとされ、「計画50年、建設50年、投資5000億元」と称されているそうです。
実際の効果について、北京市の都市生活用水と工業用水に占める「南水北調」の水の割合は50%を超え、北京の給水保障率は大幅に向上すると予定されている一方、北京は今後も人口の急増が見込まれており、「南水北調」の水は人口膨張に呑まれることになるとの指摘もあります。
また、環境問題については、水質確保、生態系への影響が懸念されていますが、中国政府もこれには十分に配慮し、多額の資金を投じて適切に処置すべく取り組んでいるそうです。
この壮大な国家プロジェクトの行方について、今後も注視していきたいものです。