11月15日、第20回勉強会が開催され、上海での執務経験もあり、中国法務に精通する藤本豪弁護士から、「中国法を通して見た中国社会」をテーマにお話しいただきました。
まずは、中国の法制度、裁判制度、立法の歴史等について詳しいレクチャーを受けました。「中国の法律の規定は日本に比べて簡単・シンプルであるが、これは、国土や人口が大きく、多様な社会であることから、細かく規定してしまうと対応できなくなってしまうという事情がある。そのため、より包摂的なものになっている」との説明がありました。
裁判制度については、「地方保護主義」(地元の利益保護を不当に優先する傾向)や「執行難」(判決の執行が困難な状況)等の問題点について指摘されました。これは外資系企業にとって大きなリスクとして認識されているそうです。また、司法の独立については、共産党の指導を受けるという仕組み上、「司法の独立は難しい」と述べられました。
出席者からは活発に質問が出されました。先の四中全会のコミュニケで強調された「法治」とはどういったものかとの質問に対しては、日本でいう「法治」とは異なり、あくまでも共産党の指導の下での「法治」であって、共産党がつくるルールをきちんと守る社会にしていくということではないかとの見解を示されました。
※先月、藤本弁護士が執筆した『中国ビジネス法体系-部門別・場面別』が出版されました。興味のある方はぜひ手に取ってみてください。