7月19日、第17回勉強会が開催され、張麗玲・株式会社大富社長から、「『小さな留学生』から14年」をテーマにお話いただきました。
張麗玲さんは1989年に来日し、大学院修後、日本の商社に就職します。そして商社での仕事の傍ら、日本で生活する中国人留学生の姿を記録し始めます。その一方、中国国営テレビ局CCTVの番組を日本で放送する「株式会社大富」を設立し、社長に就任しました。
2000年にフジテレビで放送された『小さな留学生』は大反響を巻き起こしましたが、当時、中国人が制作した作品が、日本の、しかも民放で放送されるなどほとんど考えられないことであり、放送にこぎつけるまでには言い尽くせないほどの苦労があり、大変大きなチャレンジであったそうです。しかし、日本での生活を通し、日中両国民の間に小さな誤解がたくさんあることを肌で感じていた張さんは、相互理解を促進するために映像の力は大きいと考え、必死の覚悟をもって日本での放送を貫き通します。
また、「株式会社大富」の経営も一筋縄ではいかない大変な苦労の連続でした。「自分が最も向いていない仕事は経営者」と語る張さん。日中のはざまで悩み、苦しみながらも経営を続けてきました。2012年からは日中2か国語放送も開始し、中国語がわからない日本人視聴者も、番組を通して「生」の中国を感じることができるようになりました。
最後に張さんは次のように語りました。「日中のはざまで生きるのは相当の覚悟が必要。日本と中国を本当に好きでないとできない。何があってもあきらめない、何があっても大丈夫という確信を持てるかどうか。これが大切であると思う」