第26回勉強会開催、「中国軍事力の実態」

5月16日、第26回勉強会が開催され、拓殖大学名誉教授の茅原郁夫さんから、「中国軍事力の実態――その特性と影響」をテーマにお話しいただきました。中国の軍事・安全保障については不透明な部分が多く、情報が大変限られているなかで、茅原さんは中国軍事研究の第一人者として様々な各メディアで積極的に発言されています。

中国の国際情勢認識と軍事戦略については、2013年版の「国防白書」から、①国際的には覇権主義、強権政治、新たな干渉主義が台頭(米国を指す)、②伝統的脅威、非伝統的脅威が相互に作用して軍事分野での競争は激化、③アジア太平洋地域が経済発展と大国の戦略ゲームの主要舞台、④機械化戦争から情報化戦争に移行等のポイントを読み解き、基本となる国防戦略は「情報戦条件下の積極防御戦略」であるとの説明がありました。

また、中国の国防費の継続的増加、軍事力の強化は諸外国が懸念してやまないところですが、これについて、「近代史の民族体験から、『力がなければやられる』という特異の安全保障観がある」と指摘しました。

中国の軍事力の実態としては、戦力の国外展開能力には限界があると指摘。国防近代化政策を推進しており、米国を念頭に置いた、米国と戦える質的戦力の確保を目指しているところだが、国家資源の重点を経済建設におくか、国防力強化におくかといったジレンマも抱えていると述べました。

最後に、日本の安全保障上の対応としては、東シナ海における危機管理体制の構築が必要であるとの見解を示しました。