第12回勉強会開催、「日本の華僑、華人の歴史と現状」

 1月18日、2014年最初の勉強会と新年会が開催されました。勉強会では、東京華僑総会顧問の殷秋雄さん、中国通信社前社長の薛永祥さんから、日本における華僑・華人の歴史と現状についてお話いただきました。

 薛さんからは、華僑の来日由来や統一組織の結成等、日本における華僑の歴史を簡単に説明いただいた後、戦後の華僑の3つの事業(いずれも1950年代)について紹介がありました。

 3つの事業とは、①中国紅十字会代表団等の中国訪日代表団の歓迎、②華僑の集団帰国、③中国人強制連行調査と遺骨の収集・送還です。薛さんは、「いずれも日本の友好団体や関係者の協力があって実現できた」と指摘しました。また、中国本国が華僑に説いた心構えは、「華僑の間では団結を固め、居留国ではその国の友人たちと友好関係を深めなければならない」というものだったとのことです。

 殷さんは、東京華僑総会の成り立ちについて簡単に触れた後、現在、東京華僑総会が協力している「日中友好国際学校設立事業」について紹介しました。「日中友好国際学校設立事業」とは、中国人子弟が祖国の言語を勉強できないのは不正常であるとして自民・公明・民主の有志議員により提唱された事業です。

 現在、日本には約80万人の華僑・華人がいると言われており、そのうち、東京近辺には15,000人以上の学齢児童がいるが、中華学校はわずか3校しかないそうです。殷さんは、「学校の設立には多くの方々の協力が必要。皆さんのご理解とご支援をお願いしたい」と訴えました。

 勉強会の後は、中華料理店「維新號」に場所を移して新年会が開催され、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、楽しく和やかな語らいの時間を過ごしました。多くの参加者が、「日中関係の改善、相互理解には一人ひとりの直接の交流が大切。そのために自分が今できることをやっていく」と語り、この気持ちで一つになった会でした。

 当会は、勉強会開始からちょうど1年、正式発足からは半年経ちました。この間、毎月の勉強会に加えて、昨年5月末の訪中、11月末の日中関係シンポジウムの開催と、2つの大きな事業を実現させました。残念ながら、日中関係改善の兆しはなかなか見えてきませんが、これからも、民間の力を信じて、ささやかながらも相互交流を進めていきたいと考えています。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。