第24回勉強会開催、「靖国参拝問題」

3月21日、第24回勉強会が開催され、東京大学名誉教授の石井 明さんから、「靖国参拝問題」をテーマにお話しいただきました。戦後70年の節目の年にあたる今年、いまいちど靖国問題について考えたいと、30人余りが参加しました。

石井さんはまず、「靖国神社の今」について紹介し、「現在、靖国問題は外交の問題として論じられる傾向にあるが、もともとは国内問題で、当初の論点は国の靖国神社での戦没者追悼への関わり方についてであった」と述べました。

続いて、靖国神社の歴史を振り返りました。靖国神社(前身の東京招魂社)の成り立ち、変容、そして前後の靖国神社の模索、動きについて簡単に振り返った後、首相の参拝問題について検討されました。

2013年12月末の安倍首相の参拝は近隣諸国の強い反発を招き、日本の主要新聞も一斉に社説に掲げました。各社の社説の主張は分かれていますが、これに対し、「確かに『他国からとやかく言われる』のは望ましくないが、そのために必要なのは、他国にとやかく言われない状況を作り出すことだ。その作業はアジア・太平洋戦争(1931-45年)が侵略戦争であったことを認め、それを政府の明確なメッセージとして近隣諸国に発することから始まる」との見解を示されたうえで、2015年2月25日付け『読売新聞』の世論を取り上げ、「しかし、歴史認識、靖国問題に関し、社説だけでなく、国論が分かれているのも事実である」と指摘されました。

また、出席者から、「靖国神社の生命線は①戦死者を独占すること②戦死者を顕彰することにある」との指摘がありました。

※石井さんの上記見解・検討の具体的な内容は6月18日出版予定の『歴史問題ハンドブック』(東郷和彦・波多野澄雄編、岩波書店)に収録されます。興味のある方はぜひお手にとってご覧ください。