第18回勉強会開催、「中国、食糧安保戦略の転換と世界への影響」

9月20日、第18回勉強会が開催され、農林中金総合研究所主任研究員の阮蔚さんから、「中国、食糧安保戦略の転換と世界への影響」をテーマにお話しいただきました。

中国は2013年、①主食用穀物(米と小麦)の「絶対的自給」、②主食以外の食糧(穀物、特に油糧種子)の不足分は輸入に依存する、という食糧安全保障戦略の転換に踏み切りました。これについて阮蔚さんは、これは96年に打ち出した「食糧の95%自給」戦略の全面見直しで あり、輸入を食糧供給の重要な柱として正式に位置づけた、歴史的転換であると指摘されました。

そして、主食穀物の「絶対的自給」を達成するために、「家庭農場」の育成に力を入れていることを紹介しました。「家庭農場」とは、家庭の労働力に頼り、兼業ではなく専業により、適正規模(出稼ぎ労働者に相当する収入を得られる経営規模)の農家を指すそうです。

これについて参加者から、「日本のように兼業化の道には進まないのか」との質問が出ましたが、「たとえば豚と米のように、複合化は推進されているが、兼業化ではない。中国の農業地域は日本のように近くに工場などの働き場がなく、兼業の条件がないため、一部の都市周辺は除いて、全体としてみれば、兼業化の方向には進まないだろう」と答えられました。