問答有用 中国改革派19人に聞く

 この数年、朝日新聞の中国報道の中で、読み応えのあった数少ない記事の中に、吉岡桂子記者の長文のインタビュー(オピニオンのページに掲載)があった。主に中国の改革派の経済人に鋭い質問を浴びせながら、本音を聞きだし、経済の分野だけでなく、中国が抱えるさまざまな問題や将来の中国の姿を浮き彫りにしていた。その19人のインタビューが一冊の本になった。

 それは新聞に載ったものをまとめただけのものではない。大幅に加筆され、「インタビューを終えて」として取材の背景や印象、細かいデータなどが添えられている。改めてインタビューしたものもあるという。新聞に掲載されたのとはまた別の作品に仕上がっていると思う。

 計7年にわたり中国の特派員を勤めた吉岡記者は、今年3月に帰国。現在は編集委員として引き続き中国関係の報道や評論に携わっている。私の元に届いた彼女の手紙にはこうあった。

 「こんな日中関係だからこそ、中国の理性的な知識人が冷静に中国を、また日本を見つめる声を届けたいと考えています」

(岩波書店 2100円)

文・横堀克己