第40回勉強会

9月17日、第40回勉強会が開催され、『経済日報』東京支局長の蘇海河氏から「北京の暮らしと中国経済の現状」をテーマにお話しいただいた。講演は市民生活、経済事情、日中関係の三点に類別して進められたが、総論的には、個別に細かく見ると懸案事項は多々あるものの、高度成長経済から徐々に中速成長経済に移行して行く中で、2010年比に対し2020年の個人所得を倍増させ小康社会を実現する目標が現実味を帯びるなど、着実な経済発展を歩んでいると総括評価された。

市民生活面では、食についてはエンゲル係数が下がると共に、安全への関心が深化。生活のサービス面を下支えしているのは流入する農民工である構造は変わらない。特筆すべきは、年金、医療保険は従来省単位でなされていたのが、全国化に向けネットワーク化が実現しつつあることである。もっとも、医療の自己負担率は50~80%と質的に改善される必要がある。また、住宅バブル、自動車増加も社会的課題となっていると指摘。

経済事情については、中速成長にランディングする上で、農村の都市化並びに工業生産の技術革新・品質向上が欠かせず、ゾンビ企業の整理も課題であるとの見解を示した。

更に、日中経済関係については、日本の高い技術力、品質管理、アフターサービスを学びつつ、加工輸出型ではなく、内需市場への投資を歓迎したいとしている。更にアジアや、世界の経済発展に、日中が対立するのではなく、相互に協力して貢献して行く必要があると説かれた。

(文責・長谷川正義)

※講演の劈頭、日中記者交換協定締結(1964年)50周年、並びに北京中日新聞事業促進会成立(1994年)20周年を記念して出版された『風雨東京路』が当会に贈呈されました。ご興味のある方はこちらまでご連絡ください。

左は蘇海河氏、右は当会の横堀共同代表

左は蘇海河氏、右は当会の横堀共同代表