第38回勉強会

6月18日、第38回勉強会が開催され、中国研究所理事の川上哲正さんを招いて、日本と中国の歴史教育の変遷、交流、教科書検定問題などを中心にお話を聞きました。

日中間の歴史教育の交流に関しては、2015年に南京の金陵中学校で行われた日中双方の教員による授業について紹介いただきました。中国側の授業は、尖閣諸島問題について生徒に日中双方の立場で意見を述べさせたり、日本のドキュメンタリー番組を視聴させたりと、中国側の観点からだけではなく、日中双方の観点で戦後の日中関係を考えさせるものだったそうです。一方、日本側の授業は、抗日戦争における日中の交流を紹介するもので、通訳を介して行われたものの、当時の日本投降兵による反戦運動のビラは生徒たちに大きなインパクトを与えたようです。

こうした歴史教育交流は大変有意義なもののなかなか実現が難しく、中国側の教員による日本での授業はまだ行われていないとのことです。日韓での交流はそれなりにあるので、日中間はやはり言葉の壁が大きいのではないかと指摘されました。

また、日本の教科書検定の流れや中国の教科書事情なども詳しく紹介いただきました。現在の日本の教科書問題としては、歴史修正主義に対抗する市民運動も各地で粘り強く展開されています。中国は人民教育出版社のシェアが圧倒的ですが、これは人民教育出版社の経験とノウハウが評価されているわけではなく、編集者が大学入試試験の問題作成に関わっている現実があるとのことです。

参加者からも、教育関係者を中心に活発な意見が出されました。