在日中国人33人のそれでも私たちが日本を好きな理由

この本は、中国で反日デモが吹き荒れた2013年に出版され、話題となった『在中日本人108人の それでも私たちが中国に住む理由』と対を為すものである。かつて日本で『留学生新聞』を編集・発行し、今は中国でフリーとして活躍している趙海成氏がインタビューした、長く日本で暮らす(あるいは暮らした)中国の人々の半生(そのほとんどは「波乱万丈」の半生である)や日本の教育などのさまざまな制度や問題についての率直な意見がまとめられている。翻訳は、「日中未来の会」を広く世間に紹介してくれている小林さゆりさん。

本書には、「日中未来の会」の勉強会で報告していただいたことのある張麗玲・大富社長の話から始まり、在日の作家や画家、大学教授、テレビ局のディレクター、ジャーナリスト、舞踏家、料理人、バイオリニスト、政治協商会議委員から歌舞伎町の案内人まで、実に多種多様な人々が登場する。

そしてその人々が共通して語るのは、日中両国の関係がどのように悪くなっても、日本で接触した普通の日本の庶民に対する気持ちは変わらない、という気持ちであり、日本が「好き」という感情である。こうした人々が健在である限り、日中関係の将来もそう悲観しないで良いかもしれない。

(CCCメディアハウス   1800円+税)

(横堀 克己)